エホバの証人の収入、給料調査すると、かなり具体的な体験談が見つかります。特に日本の元信者の証言からは、「宗教活動を優先するため、正社員ではなくパート・アルバイトを選ぶ」「収入を抑えた生活をする」「宗教活動と両立しやすい特殊な勤務時間を選ぶ」というパターンが繰り返し確認できます。この記事では体験談やマクロデータを見て、福祉者や教育者が知っておきたいことをまとめました。
目次
- 1 体験談
- 1.1 1.正規開拓者として、月収9~10万円からスタートした元2世
- 1.2 2.薬剤師資格を取っても「まずパート勤務」を考えた2世
- 1.3 3.「正社員が許されるはずもなく、レストランでアルバイト」
- 1.4 4.週3~4日のアルバイトで生活し、残りを宗教活動に充てたという匿名証言
- 1.5 5.月数万円のパートから脱会準備をした元2世
- 1.6 6.宗教活動だけで月100時間前後という感覚
- 1.7 7.建設業の仕事を調整して無給の建設奉仕へ
- 1.8 8.ベテル奉仕では「仕事」はあるが、通常の給与ではない
- 1.9 9.宗教を離れた後に「仕事の空白」が問題になったという声
- 1.10 体験談を総合すると見えてくるパターン
- 2 エホバの証人問題支援弁護団による調査
- 3 エホバの証人家庭の児童を支援する福祉者が知っておきたい「時間・経済・進路」の視点
体験談
1.正規開拓者として、月収9~10万円からスタートした元2世
比較的詳しく収入まで公開しているのが、現在は弁護士で、元エホバの証人2世を名乗る人物のブログです。
本人は正規開拓者として外国語会衆で活動していた頃、家電量販店のパソコン売り場でアルバイトをしており、時給約900円、月収7~8万円だったと振り返っています。さらに信者への語学の家庭教師で月約2万円を得て、合計月収は9~10万円程度だったといいます。
一方で、伝道活動のための軽油代や車の維持費がかかり、「毎月カツカツ」「貯金はほとんどできない」状態だったとしています。そこで新聞配達を始め、午前1時~5時頃まで働くことで月16万円を得るようになり、家庭教師収入も増えて、最終的には月23~24万円程度になったと記しています。本人はこれを「当時の開拓者としてはかなり余裕がある生活」と評価しています。
興味深いのは、仕事の選択理由です。新聞配達は深夜から早朝に終わるため、昼間の伝道活動や夜の集会と両立しやすかったとしています。つまり、収入最大化よりも、宗教活動の時間を確保できる勤務形態が優先されていたことが分かります。
2.薬剤師資格を取っても「まずパート勤務」を考えた2世
元2世のKatsumi氏は、正規開拓者になると当時は月70時間の布教活動に加え、集会や個人研究があるため、正社員勤務との両立は現実的に難しいと考えていたと記しています。
大学卒業後は薬剤師になる予定でしたが、当初はドラッグストアで「週3回、1日8時間程度」働きながら正規開拓者になることを想定していました。
しかし薬学部の実習を経験する中で、新人薬剤師が最初からパート勤務では十分な臨床経験を積みにくいと判断し、まず正社員として数年間働く道を選択しました。両親は卒業後すぐに開拓者になることを期待していたものの、本人の説明を受け入れたとしています。
これは重要な事例です。本人に大学資格や専門能力があっても、宗教活動を中心に考えると、本来なら正社員としてキャリア形成する時期にパート勤務を選択肢として考えることがあった、という証言だからです。
3.「正社員が許されるはずもなく、レストランでアルバイト」
別の元2世女性は、高校卒業後すぐ開拓奉仕を始めた当時について、
「もちろん正社員が許されるはずもなく」
と振り返り、レストランでアルバイトを始めたと記しています。
これは本人の主観的表現なので、「組織として正社員を禁止していた」と一般化することはできません。
しかし当人が当時、正社員勤務と開拓奉仕は両立しない、あるいは望ましくないものとして認識していたことを示す体験談としてはかなり明瞭です。
4.週3~4日のアルバイトで生活し、残りを宗教活動に充てたという匿名証言
匿名掲示板には、元2世を名乗る人物が、「週3、4日のアルバイトで細々と生活しながら、他の時間はすべて無報酬の宗教活動に使った」と振り返る投稿があります。
本人は現在もアルバイトで、同世代と比べて社会経験が乏しいと感じており、信者時代には決して遊んでいたのではなく、宗教活動に時間と労力を使っていたことを理解してほしいと書いています。
匿名投稿なので証拠力は低いですが、前述の実名・半実名の体験談と共通する構造があります。
5.月数万円のパートから脱会準備をした元2世
別の元2世女性は、開拓奉仕をしながら月数万円のパート収入を貯め、そこから就職・引っ越し資金を作ったと書いています。
その後、職業訓練制度を利用して自立を準備し、就職活動で内定を得て移住。派遣社員を経て正社員になったとしています。この体験談から見えるのは、信者時代には「生活できる最低限の仕事+開拓奉仕」という生活だった一方、離脱を決めた後は、貯金 → 職業訓練 → 就職 → 正社員という一般的な職業キャリアへ移行したことです。
6.宗教活動だけで月100時間前後という感覚
元信者ディアマンテ氏は、自身の経験をもとに、当時の正規開拓者について、月70時間の伝道活動に加え、集会・準備・会衆の仕事などを合わせると、宗教活動全体では月110時間程度に達すると試算しています。
そのため、世俗の仕事は片手間になり、時給1,000円で90時間働いても月収9万円程度になる、と論じています。本人は会衆内で「月給10万円を超えていると働き過ぎと揶揄される」ような空気を経験したとも記しています。
この数字自体は本人による試算ですが、宗教活動に使う時間が仕事時間を制約する構造を理解するには参考になります。
7.建設業の仕事を調整して無給の建設奉仕へ
元信者の別のブログでは、専門学校卒業後に建設業界で働きながら、仕事を調整して補助開拓や王国会館等の建設奉仕に参加した経験が書かれています。
本人は、当時の必要時間を現在の最低賃金に置き換えて、補助開拓60時間なら月5万円余り、正規開拓90時間なら8万円余りに相当すると試算し、それらが無給だったことを振り返っています。
これも現在価値への換算なので「失った給料」の実額ではありませんが、有給労働を調整して無給の宗教活動へ時間を振り向けたという体験は確認できます。
8.ベテル奉仕では「仕事」はあるが、通常の給与ではない
日本のBethel(ベテル)については、元テンポラリー奉仕者が3か月間の体験を公開しています。本人は海老名のベテルで、到着後に仕事を割り当てられ、ウェイター業務に従事したとしています。
別の現役・元信者ブログでは「ベテルのお手当は月2万円程度だった記憶」とする証言もあります。
9.宗教を離れた後に「仕事の空白」が問題になったという声
仕事の問題は信者時代だけで終わらないという証言もあります。
匿名掲示板の元2世は、高卒で長期間アルバイトを続け、無報酬の宗教活動に多くの時間を使っていたため、離脱後に同世代と比較して職歴や社会経験が不足している感覚を持ったとしています。
また別の元2世は、排斥後に信者のいる職場を辞め、沖縄へ移住した際、安定収入がないため賃貸住宅を借りにくく、住所がないため仕事も決まりにくいという状況を経験したと書いています。
ここからは、宗教共同体の内部で成立していた仕事・住居・人的ネットワークを離れた時に、一般社会へ再接続する困難が生じる場合もあることが分かります。
体験談を総合すると見えてくるパターン
確認した体験談には、かなり共通性があります。
| パターン | 具体的な体験 |
|---|---|
| 宗教活動を優先 | 正規開拓のため正社員ではなくアルバイト・パート |
| 勤務時間を調整 | 新聞配達、飲食、ドラッグストアなど奉仕と両立しやすい仕事 |
| 低収入 | 月数万円~10万円前後だったという証言 |
| 職業キャリアを後回し | 専門資格があってもパート勤務を想定 |
| 無給活動への時間投入 | 伝道、建設、集会準備などに多数の時間 |
| 信者ネットワークの利用 | 信者から仕事を紹介される、信者同士で働く |
| 離脱後の再構築 | 職業訓練、派遣、正社員化などを一から始める |
一方で、全員が低収入だったわけではありません。先ほどの元2世弁護士の例では、仕事を工夫して月23~24万円程度を得て「開拓者としてはかなり余裕がある」と感じていました。
したがって、調査結果をまとめるなら、
エホバの証人だった人の体験談からは、宗教活動を優先するため、正社員勤務や長時間勤務を避け、パート・アルバイトなど時間調整のしやすい仕事を選んだという証言が複数確認できる。その結果、月数万円から10万円程度の収入で生活した人もいる。一方、技能や勤務時間の工夫によって20万円台の収入を得ていた開拓者の例もあり、「エホバの証人=一律に低収入」と一般化することはできない。重要なのは、宗教活動を優先する生活設計が、職業選択、勤務時間、キャリア形成、貯蓄に影響したと語る元信者が複数いることである。
とするのが比較的正確だと思います。
エホバの証人問題支援弁護団による調査
エホバの証人は宗教活動にどの程度の時間を使うのか?
弁護団は2023年に実施した調査で、578人の有効回答者に対し、「集会・大会への出席と準備、布教活動、教団内の奉仕活動などに、最大で月に何時間程度使っていたか」を尋ねています。ベテル奉仕、建設奉仕、巡回監督、長老などの役職経験者には、その時間も含めるよう求めています。
結果は次の通りです。
| 最大の月間宗教活動時間 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 20時間未満 | 45 | 7.8% |
| 20~40時間未満 | 37 | 6.4% |
| 40~60時間未満 | 142 | 24.6% |
| 60~80時間未満 | 129 | 22.3% |
| 80~100時間未満 | 55 | 9.5% |
| 100~120時間未満 | 44 | 7.6% |
| 120~140時間未満 | 49 | 8.5% |
| 140~160時間未満 | 20 | 3.5% |
| 160~180時間未満 | 15 | 2.6% |
| 180~200時間未満 | 27 | 4.7% |
| 200~220時間未満 | 9 | 1.6% |
| 220~240時間未満 | 1 | 0.2% |
| 240時間以上 | 5 | 0.9% |
この分布から、いくつか重要な示唆が得られます。
まず、85.8%が「最大で月40時間以上」、61.2%が60時間以上、38.9%が80時間以上、29.4%が100時間以上、21.8%が120時間以上を宗教活動に使った経験があると回答しています。さらに約9.9%は160時間以上です。
160時間というのは、単純換算すれば週約37時間で、ほぼ一般的なフルタイム勤務に近い時間量です。ただし、これは「平均的な月」ではなく、回答者が経験した最大時の月間時間です。そこは記事で必ず強調する必要があります。
中央値が入る階級は60~80時間未満です。つまり回答者の半数以上が、少なくともある時期には月60時間以上を宗教活動に使っていました。月60~80時間は週換算で約14~18時間程度です。これは副業一つ分に近い時間量です。
さらに、階級の下限だけを使って非常に保守的に計算しても、回答者1人当たりの「最大時月間活動時間」の平均下限は約73時間になります。実際の値は各階級の下限より大きいため、平均はこれより上です。ただしこれも「通常月の平均」ではありません。
エホバの証人が選べる仕事と収入
ここから、仕事との関係についてかなり重要な仮説が立ちます。
弁護団はこの時間調査の直後に「生活に必要な収入は得られるのか」を調査しており、578人中570人、99%が宗教活動について「一切、報酬はない」と回答しています。つまり、かなり大きな時間投入 × 原則無報酬という構造です。
これまで集めた元信者の体験談で、「正規開拓をするためアルバイト・パートを選んだ」「正社員では宗教活動との両立が難しかった」「新聞配達など時間調整しやすい仕事を選んだ」という証言が複数あったこととも整合します。
例えば、月80時間の宗教活動をする人は、単純計算で週18時間以上です。フルタイム勤務40時間と合わせれば週58時間になります。そこに通勤、家事、育児、睡眠を入れると、かなり厳しくなります。
そのため実生活では、「宗教活動を減らす」または「仕事時間を減らす」という選択が必要になります。宗教活動を優先する価値観が強ければ、後者(パート、アルバイト、短時間勤務など)を選びやすくなる可能性があります。
さらにキャリア形成の観点では、より重要です。若年期に週15~20時間程度を宗教活動に使う場合、その時間は、学習、資格取得、大学進学、残業を伴う職務、職業訓練、人脈形成、昇進準備には使えません。したがって「現在の給料」だけでなく、長期的には人的資本形成の機会費用として考える必要があります。
この観点はPew Research Centerの調査ともつながります。米国ではエホバの証人に比較的低い世帯所得と低い高等教育修了率が同時に観察されています。ただしPewは因果関係を証明していません。そこで、
「低所得だから大学に行けない」だけでなく、「高等教育や職業キャリアに使える時間が宗教活動によって制約され、その結果として長期所得にも影響する可能性がある」
という仮説を提示できます。
エホバの証人家庭の児童を支援する福祉者が知っておきたい「時間・経済・進路」の視点
上記のようなエホバの証人を保護者に持つ児童を指導・支援する教育者や福祉者はどのような視点で児童に接することができるでしょうか?
「所得の低さ」だけでなく「時間の貧困」を見る
福祉の現場では、世帯所得、生活保護の利用状況、住居、食事など、経済的な側面が重視されます。しかし、宗教活動に多くの時間を費やす家庭の場合、もう一つ確認したいのが「時間の貧困」です。
例えば保護者が仕事に加えて毎週十数時間から数十時間を集会、布教活動、その準備などに費やしている場合、家事、育児、学校との連絡、子どもとの会話、病院への付き添い、進路相談などに使える時間が不足する可能性があります。
もちろん、宗教活動に長い時間を使っていること自体がネグレクトを意味するわけではありません。見るべきなのは、その結果として、児童に必要な食事、衣服、医療、教育、休養、保護者との関わりなどが十分に確保されているかどうかです。
現在の生活が成立していても、将来の選択肢が狭まっていないか
福祉者がもう一段踏み込んで確認したいのは、「現在困窮しているか」だけではなく、「この児童が将来自分の希望する進路を選択できる条件が整っているか」です。日常生活には大きな問題がなくても、大学進学のための費用を準備していない、受験料や塾代を出さない、資格取得を勧めない、卒業後は最低限働きながら宗教活動を優先することが当然とされている、といった場合があります。
こうした状況では、現在の貧困というより、将来に向けた教育投資や職業選択の機会が限定されている可能性があります。福祉者としては、「今食べられているか」だけではなく、「18歳や20歳になった時に、この児童は自分の意思で大学、専門学校、資格取得、就職などを選べるか」という長期的な視点が必要です。
「大学に行かない」という本人の言葉を、そのまま最終意思と考えない
エホバの証人家庭の児童が「大学には行きません」「高校を卒業したら働きます」「宗教活動を優先したいです」と話す場合があります。それが本人の自由な意思であれば、その選択は尊重されるべきです。一方で、幼少期から特定の進路が望ましいと繰り返し教えられていたり、進学すると家族や宗教共同体との関係が悪くなると感じていたり、そもそも家庭に学費を出す余裕がないと思い込んでいたりする可能性もあります。
そのため、福祉者は「大学に行きたいですか」と一問だけ聞くのではなく、「もし学費の問題がなければ何をしてみたいですか」「家族がどう考えるかとは別に、自分ではどのような進路を希望していますか」「進学すると何か困ることや不安がありますか」といった質問を通じて、本人の希望、経済事情、宗教上の事情を分けて把握することが重要です。
「親が学費を出さない=進学できない」と考えない
本人が進学を希望していても、家庭から十分な経済的支援が得られない場合があります。しかし、日本には給付型奨学金、授業料・入学金の減免、貸与型奨学金、大学独自の支援制度などがあります。したがって、保護者が学費を出さない、あるいは出せない場合でも、それだけで進学可能性がなくなるわけではありません。
福祉者や学校関係者ができる重要な支援の一つは、「家庭の援助が十分でなくても、進学する方法はある」と本人に伝え、具体的な制度につなぐことです。宗教の信仰等に関係する児童虐待への政府の対応でも、修学上の経済的困難に対する支援や、学校・福祉機関による連携の重要性が示されています。文部科学省「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」
保護者の働き方と社会保障も、児童の将来に関係します
宗教活動を優先するために、保護者が長期間パート・アルバイト・短時間勤務などを選択している場合、その影響は現在の家計だけにとどまりません。職業経験、昇進、資格取得、貯蓄、厚生年金などにも影響する可能性があります。弁護団調査では、仕事や経済的問題に加えて、年金や健康保険など社会保障との関係も調査されています。
親の老後所得が乏しくなれば、将来的に子どもが親の生活を支える役割を負う可能性もあります。その意味で、福祉者は「現在、この家庭が生活できているか」だけではなく、「将来、児童に過大な経済的扶養負担が生じる可能性はないか」という長期的視点も持つ必要があります。
子ども自身の宗教活動時間にも注意する
時間の問題は保護者だけではありません。児童自身が集会、布教活動、その準備などに多くの時間を費やしている場合、その活動と学校生活とのバランスを見る必要があります。学校、宿題、部活動、友人との交流、睡眠、休息に加えて宗教活動が重なることで、慢性的に疲れていないか、学習時間が不足していないか、本人が自由に使える時間がほとんどなくなっていないかを確認することが重要です。
ここでも、宗教活動に参加していること自体を問題視するのではありません。問題となるのは、その結果として児童の健康、教育、発達、社会的なつながりが損なわれていないかどうかです。
「普通に生活しているように見える家庭」にも支援ニーズはあり得ます
こうした家庭では、必ずしも目立った困窮や暴力があるとは限りません。食事もあり、住居もあり、学校にも通っています。しかし、その一方で、本人が進学を諦めている、職業選択を狭めている、宗教活動のために学習時間が不足している、家庭の経済状況を心配して希望を言い出せない、といった問題が隠れている可能性があります。
福祉者が発見すべきなのは緊急性の高い虐待だけではありません。児童の将来の選択肢が徐々に狭まっている状態も、支援を検討すべき重要なサインです。
宗教そのものを批判せず、児童への具体的影響を扱う
支援を行う際には、宗教そのものを批判することは適切ではありません。保護者に対して「あなたの宗教は子どもに悪影響を与えています」と伝えれば、支援関係そのものが失われる可能性があります。むしろ、「信仰を否定することが目的ではありません。ただ、お子さん自身が希望する進路や生活を選択できるよう、利用できる制度を一緒に考えたいと思います」といった形で、児童の具体的な利益に焦点を当てる方が現実的です。
政府も、宗教に関係する問題だからという理由だけで学校や関係機関が対応に消極的にならず、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、児童相談所などと連携することを求めています。
福祉者が見るべきなのは「貧しいか」ではなく「選択肢が守られているか」
エホバの証人家庭の児童を支援する際に、「この家庭は所得が低いのか」「宗教活動に何時間使っているのか」だけを見るのでは十分ではありません。重要なのは、家庭の時間とお金の使われ方によって、児童の現在の生活と将来の選択肢が狭められていないかを確認することです。
見るべきポイントは、現在の衣食住や医療、保護者が養育に使える時間、家計と社会保障、本人自身の進路希望、学習や休息に使える時間、そして大学や資格取得、就職、自立といった将来の選択可能性です。宗教活動への大きな時間投入が、仕事や収入だけでなく、親の養育時間、児童の学習時間、家庭の貯蓄、職業形成、社会保障まで連鎖的に影響する可能性があります。
したがって福祉者にとって最も有効な問いは、「エホバの証人家庭だから問題があるか」でも、「この家庭は貧しいか」でもありません。「この家庭の生活の組み立て方によって、この児童が本来持っているはずの現在と将来の選択肢が失われていないか」と考えることが、支援の出発点になります。